防火設備定期検査の検査項目として、大きく分類すると、4項目があります。
防火設備定期検査はこの4項目を一定の基準に従い、事故が起きないように検査するものです。
簡単にどのような検査なのか、下記で説明致します。
防火設備検査で対象となる防火扉は ※1「随時閉鎖式」 のものになります。
これに対して「常時閉鎖式」の防火扉は機構が単純な為、特定建築物の定期調査の際に点検します。
熱感知器や煙感知器を実際に作動させ、連動を確認し、扉が完全に閉まるかを確認します。
また作動の際に扉の「運動エネルギー」と「閉鎖力」の測定も行います。 これは避難時に勢い良く扉が閉まると挟まれて怪我をする恐れがあることから、一定の基準値以下であることが前提となります。
*「運動エネルギー」は10J以下、閉鎖力は150N以下が判定基準となります。
※1「随時閉鎖式」
普段は開放されているが、火災時に感知器もしくは熱感知器に連動して自動的に閉鎖方式の扉になります。
また、感知器、熱感知器の他に、温度ヒューズ閉鎖式も存在しており、火災時に温度ヒューズが溶解することにより、ストッパーが外れ閉鎖するものになります。(こちらも検査報告の対象です。)
防火シャッターは、比較的大きな開口を有する空間を閉鎖する場合に設置されます。
主に、病院やスーパー、ショッピングモールなどの複合施設のエスカレーターや吹き抜け等に設置されており、感知器にて連動作動、もしくは非常ボタンで閉鎖作動します。
検査方法は防火扉と同じように感知器を作動させ、連動動作を確認し、シャッターが閉まりきるか確認します。
その際、地盤面から1mの高さからシャッターが何秒で降下するかを測定します。
これにより、運動エネルギーが規定値を超えていないかを確認します。
シャッターには、シャッターを巻上げる機械が上部や天井裏にありますので、内部の劣化損傷なども併せて確認します。
また防火シャッターには、降下時に挟まれて怪我をすることを防止するため「危害防止装置」が設置されているものがあります。
(※平成17年12月以降の防火シャッターに装着が義務化されました。)
この危害防止装置が感知・作動するかも確認が必要です。
具体的には、シャッターの底部(座板)に接触したら降下が5cm以内で一旦停止し、再降下しなければなりません。
*「運動エネルギー」は10J以下が判定基準となります。
耐火クロススクリーンとは、防火シャッターと同じように天井から特殊なスクリーンが降下してきて防火区画を形成します。
設置場所としては、小さなものはエレベータの前に、比較的大きなものは病院や倉庫などに設置されています。
耐火クロススクリーンは、ガラスクロス製でできており炎と煙を遮断します。
特徴としましては、防火シャッターに比べて非常に軽量で、柔らかい素材でできているため万が一接触しても安全です。
避難する際は持ち上げるか、切れ目をめくり上げる形で通ることができます。
検査内容は防火シャッターと同様に、感知器と連動しきちんと閉鎖するか、また各部に損傷がないかなどを確認していきます。
耐火クロススクリーンには、「巻取り式」と「バランス式」があります。
巻取り式耐火クロススクリーンには、危害防止装置がついていますので、接触時に停止し、障害物がなくなれば再降下するかをみます。
エレベーターの前など比較的小さな開口部に使用するバランス式耐火クロススクリーンには、危害防止装置の設置はありません。
*「運動エネルギー」は10J以下、閉鎖力は150N以下が判定基準となります。
ドレンチャーとは、火災時に天井等の散水ヘッドから水が噴射し「水幕」を形成することで火煙の広がりを遮断する装置です。
設置されている建物が非常に限られており、駅や空港その他大規模施設など、
シャッターなどでは閉鎖できない大空間を有する建物で設置されているケースが多いです。
定期検査報告の対象となるドレンチャーは、あくまで防火区画を形成する防火設備として認定されたものとなりますので、類似の設備にスプリンクラーがありますが、こちらは火災時の初期消火を目的とするもので、ドレンチャーとは意図が異なります。
文化財建築物などに設置されている延焼防止用の設備も同様です。
作動時には相当量の水量が散水されるので、実際に災害時と同じ状況を想定しての検査をすることはできません。
その為、全国でも数えられるほどの施設でしか設置されていません。